2018年 03月 03日 ( 1 )



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それからそこいらじゅうに鏡があった。
部屋に二つ三つ、大小さまざま、でもそのほとんどは長方形だった。
どれもこれも繊細な金の額に入れられており、花冠や、牧歌的な情景などが美しく彫金されており、鏡本体よりも、そちらのほうに目がいくようになっていた。どの鏡もみな、銀膜の保存状態があまりよくなかったからだ。ある意味で、額のほうが鏡よりもっと理屈に合っていて、銀膜が壁に流れ出すのを、それでもって、一生懸命押しとどめているかのようにさえ見えた。幾世紀の間も、反対側の壁以外映すものがなかった鏡は、強欲のせいかそれとも精気が衰えているのか、見る人の顔を写し返すなんて仕事は、気が進まないようだった。





by kate-maille | 2018-03-03 21:39 | 詩・格言・小説

自分の画を紹介しています・・・   気楽な個展です ・・・


by kate-maille
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