2017年 08月 11日 ( 1 )



f0015226_14214414.jpg

—ところで。
と催眠術師はいいました。
—三十年前、きみはなにをしていたかね?
私は思い出そうとしました。だけど、頭の片隅に膜がはったようになっていて、
なんだか息苦しい感じがしました。私は目を閉じたまま、頭を振りました。
おぼつかない記憶の中で、果てしない闇が見えてきました。
—三十年前。
と私は言いました。
—私は港町の古い酒場にいましたよ、すっかり年老いて。
と私は言いました。
—そんなところで、なにをしていたのかね?
と催眠術師が聞きました。
—一匹の鼠を探していたのです。
と私は言いました。
—一匹の鼠?そんなものを、つかまえていったいどうするつもりだね?
と催眠術師が聞きました。
—食べるんです。
と私は言いました。
—だって、とてもお腹が空いていたんですもの!

                       (私が猫だったころ)

by kate-maille | 2017-08-11 14:45 | 詩・格言・小説

自分の画を紹介しています・・・   気楽な個展です ・・・


by kate-maille
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30