会田綱雄  「帰郷」

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先ず始めに 「一つの体験として」と言う 会田綱雄の文章の一部を引用します
昭和15年 25歳の会田は 志願して 当時の言葉で言えば「軍属」となり中国へ・・・

【・・・こういう席で、どうかと思うが、日本軍は南京で大虐殺をした。その大虐殺をその目で見た人が何人かいて、なまなましい思い出話を聞かされたことがある。その話のあとで、こういうことを聞いた。それは、戦争のあった年にとれるカニは大変おいしいということ。これは日本人がそういうのではなく、占領され虐殺された側の民衆の間の、一つの口承としてあるということ。そのことを特務機関の同僚が私に教えてくれたのである。戦争のあった年にとれるカニがおいしいというのは・・・】

この一つの体験によって「伝説」と言う詩が生まれる・・・
「蟹を食うひともあるのだ」   この一行の深い意味  会田綱雄の代表作です

今回は 同じ詩集に収められている 「帰郷」を紹介したいと思います
そこには 戦争と言うものが いかにむごく詩人の魂に関わるのかが伺われるのです
私には 「帰郷」は「伝説」へと繋がっている作品に思えますが 制作年は分りません・・・




「帰郷」

    ぼくはやっとかえってきた
    あれはてたふるさとに
    かえってきた
    焼けうせたぼくの家のあたりには
    麦がのびてる
    その麦は
    灰をたべたのだ
    そこにさいごのうんこをして
    ぬけがらみたいに
    ぼくはたおれた
    ぼろ靴は
    犬がくわえていくだろう
    ぼくは
    ぼろぼろにくずれていくだろう
    麦は
    こんどはぼくをたべるだろう
    みのった麦は
    粉にひきたまえ

                     思潮社・現代詩文庫「会田綱雄詩集」より
by kate-maille | 2007-12-03 23:44 | 詩・格言・小説

自分の画を紹介しています・・・   気楽な個展です ・・・


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