ヴィヴァルディ 「四季」・・冬

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  「死んだ人なんかゐないんだ。
   どこかへ行けば、きっといいことはある。

   夏になったら、それは花が咲いたらといふことだ。
   高原を林深く行かう。
   もう母もなく、おまへもなく。
   つつじや石榴の花びらを踏んで。
   ちょうどついこの間、落ち葉を踏んだやうにして。
   林の奥には、そこで世界がなくなるところがあるものだ。
   そこまで歩かう。
   それは麗(ふもと)をめぐって山をこえた向うかも知れない。
   誰にも見えない。

   僕はいろいろな笑い声や泣き声をもう一度思い出すだらう。
   それからほんとうに叱られたことのなかったことを。
   僕はそのあと大きなまちがひをするだらう。
   今までのまちがひがそのためにすっかり消える。

   人は誰でもいつもよい大人になるとは限らないのだ。
   美しかったすべてを花びらに埋めつくして、霧に溶けて。

    さようなら。」                立原道造「天の誘ひ」




  
                   
 
by kate-maille | 2006-12-16 00:03 | 詩・格言・小説

自分の画を紹介しています・・・   気楽な個展です ・・・


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