中原中也 「雪の賦」



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    雪が降るとこのわたくしには、人生が、
    かなしくもうつくしいものに―
    憂愁にみちたものに、思へるのであった。

    その雪は、中世の、暗いお城の塀にも降り、
    大高源吾の頃にも降った・・・・・

    幾多々々の孤児の手は、
    そのためにかじかんで、
    都会の夕べはそのために十分悲しくあったのだ.

    ロシアの田舎の別荘の、
    矢来の彼方に見る雪は、
    うんざりする程永遠で、

    雪の降る日は高貴の夫人も、
    ちつとは愚痴でもあらうと思はれ・・・・・

    雪が降るとこのわたくしには、人生が
    かなしくもうつくしいものに—
    憂愁にみちたものに、思へるのであった。

                      (詩集「在りし日の歌」より)





   
by kate-maille | 2017-02-08 22:56 | 詩・格言・小説

自分の画を紹介しています・・・   気楽な個展です ・・・


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