富永太郎 詩集より 「橋の上の自画像」

f0015226_22205761.jpg


   今宵私のパイプは橋の上で
   狂暴に煙を上昇させる。

   今宵あれらの水びたしの荷足は
   すべて昇天しなければならぬ、
   頬被りした船頭たちを載せて。

   電車らは花車の亡霊のやうに
   音もなく夜の中に拡散し遂げる。
   (靴穿きで木橋を踏む淋しさ!)

   私は明滅する「仁丹」の広告塔を憎む。
   またすべての詩華集(アンソロジー)とカルピスソーダ水とを嫌ふ。

   哀れな欲望過多症患者が
   人類撲滅の大志を抱いて、
   最後を遂げるに間近い夜だ。

   蛾よ、蛾よ、
   ガードの鉄柱にとまって、震へて、
   夥しく産卵して死ぬべし、死ぬべし。

   咲き出でた交番の赤ランプは
   おまへの看護には過ぎたるものだ。
by kate-maille | 2015-06-20 22:21 | 詩・格言・小説

自分の画を紹介しています・・・   気楽な個展です ・・・


by kate-maille
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30